茶褐色の季節

ようやく、朝晩が涼しくなってきた。

夏は好きだけど、前髪が汗でベタッとなるのだけは、絶対に許せない。

せっかく整えたのに「今、海からあがってきました」みたいな顔になって、鏡を見てうんざりするは恒例だ。

でも、涼しくなったおかげでそのブルーな気持ちも、ようやく鎮火しそうである。

秋といえば、読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋とは言うけれど、私はまず「やっとエアコンを消しても死なない季節」というのを思い浮かべる。

近頃の夏はとんでもなく暑くて、窓をちょっとでも開けようもんなら、一瞬で部屋がサウナに早変わり。

この不快な暑さでさえ、寒い冬に取っておけたら、どんなに便利かと妄想するけれど、実際に保存したら、冷凍庫の奥の保冷剤みたいに存在を忘れてしまうだろう。

夏のあいだは、とにかく冷たい飲み物しか飲む気になれない。

水、麦茶、アイスコーヒー、あと凍る寸前のビール。

どうやら”冷たくないと仲間に入れない”というルールがあるみたいだ。

ただ、秋になると、それも変わってくる。

気がつくと温かい飲み物が欲しくなって、手でマグカップを包みながら「ふー」なんてやっている。

人間って、本当、わがままだなと思う。

そんな私が紅茶にハマったのは、ちょうど一年前のことだ。

きっかけは義理の妹からのお土産で、妙にパッケージが可愛らしい紅茶だった。

「なんだこれは」と思うくらい見た目がラブリーで、しかもフレーバーがやたら独特。

世間的に紅茶といえば、ノーマルのダージリンとかアールグレイとか、その辺りがメジャーだろう。味の想像もちゃんとつく。

ところがその紅茶は、マカダミアンショコラとか白桃メロンなど書いてある。フレーバーティーなのは分かったが、味の想像が全くつかない!

「ケーキ屋か」とツっこみたくなるほど甘そうな名前なのに、ちゃんと無糖の紅茶なのだ。

甘そうで甘くない、ジュースじゃなくてお茶。

それがかえって面白く、私はすっかり紅茶の世界に引きずり込まれてしまった。


ムレスナティーハウス ティーバッグタイプ うめだ阪急百貨店 限定パッケージ

左 エデンの果実

1000%果実の紅茶
マンゴー・アップル・パイン・アールグレイのブレンド。さらりとマンゴー、アップル、パインに
少しベルガモットを加えたベストブレンドムレスナです。

右 焼菓子にあうおいしい紅茶 花心 ビターエスプレッソティー

パイン、アプリコット、パッションフルーツをうまくバランスをとって完成したとってもおいしいブレンド。

阪急阪神百貨店通販 公式サイト内引用

ムレスナティー卸売り正規販売代理店 公式サイト内引用


英語ではBlack tea(ブラックティー)と呼ばれる紅茶だが、紅茶の定義を説明しておこう。

「紅茶」という言葉は基本的に カメリア・シネンシス(チャノキ) を原料とする完全発酵茶を指すようだ。

厳密な定義ではカメリア属以外の植物を使ったものは「紅茶」とは呼ばない。

緑茶と烏龍茶と紅茶は、同じカメリア属出身だが、発酵の度合いで呼び名が異なるという。

分かりやすく年齢で言うと緑茶(10~20代)→烏龍茶(30代~40代)→紅茶(50代~)という感じだろうか。経験豊富なだけあって、甘味(優しさ)と風味(落ち着き)が増している気がする。

つまり、カメリア属以外の植物を使うと「紅茶」ではなく、ハーブティー(花・葉・果実などを使用) の扱いになるという。

例えば、ルイボスティーは発酵させたら、紅茶のような、赤褐色の茶液になるが、カメリア属では無い為「紅茶」ではない。

南米で良く飲まれている、マテ茶(モチノキ科)も、発酵・非発酵タイプがあるが、紅茶というわけではない。

ただ、一部の国や商品マーケティングでは「ルイボス紅茶」「ハーブ紅茶」と呼ばれることもあるのが現状だ。

正式な紅茶の分類ではなく、風味や色の連想からそういった呼び名にしているだけなのだ。(販売戦略?)

本人たちは「俺も仲間だよな?」という雰囲気で居座っているが、紅茶側は「なんか違うヤツ居るな~」というところだ。傍から見ると少し胸が痛い。

紅茶の定義は、「はい、カメリア属の木出身の茶葉を完全発酵させたものですね」と理解は出来た。

だったら、私は紅茶だけではなく、ハーブティーも好きそうだ。

そう言えば、ここ数年、韓国ではカモミールティーが、かなりの速度で浸透している気がする。

韓国ドラマを観ていると、夜間にカフェに居るシーンで、コーヒーでは無くカモミールティーを注文するだとか、気が動転している人に対して”カモミールティーでも飲んで落ち着いて”だとか、キャスト並みに出演しているのだ。

カモミールはもちろん知っている。白くて何枚もある花びらに、中央が黄色のアレだろう。

そもそも、カモミールティーには、リラックス効果、消化促進作用、抗炎症作用、美肌・安眠効果など、多様な効果・効能がある。

特にストレスや不安の軽減、胃腸の不調改善、冷え性や生理痛の緩和、そしてノンカフェインの為、質の良い睡眠に役立つとされているそう。

これだけ聞くと、全世界の病院が潰れてもおかしくない。

純粋なカモミールティーは香りがリンゴのように甘く、味も強すぎず優しい。

その為、初心者でも楽しめるハーブティーだ。確かに私自身も、初めて飲んだ際には、おいしいお茶だなと思った記憶がある。

そんなカモミールティーは韓国では、”夜飲むお茶”としての認識が高いようだ。

実際に、健康志向が強く、「体に良い」「自然派」というイメージが受けやすい、伝統茶やハーブティーへの関心も高い。韓国のお茶文化を紹介する記事でも、伝統茶や植物性のお茶への注目が語られている。

「夜飲むリラックス茶」「ノンカフェイン茶」が好まれる傾向からか、カモミールがその用途にマッチしているのかもしれない。

古くは、菊茶(菊の花を干して作るお茶)などがあり、カモミール(キク科の植物)と風味や効能のイメージが重なる部分がある。その点で、日本よりも身近なところはあると言えよう。

仮説としては韓国では、カモミールティーが健康、美容ドリンクとして「日常飲料」に近づいている可能性が高そうだ。

そんな日本は、緑茶などの、日本茶文化が強く、ハーブティーが「割り込みづらい」土壌なのかもしれない。


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商品特徴

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原材料・成分

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低温乾燥で味と香りを守り、各原物によって変温ローストにより時間と温度を差別化して風味を高めました。

OLIVE YOUNG(オリーブヤング)Global 公式通販サイト内引用

TEARTH(ティーアース) カモミール ノンカフェイン

欧米では古くからリラックス効果があると言われるハーブティー。
心と身体が癒されます。

TEARTH 公式サイト内引用


紅茶を水出ししたらダメだという話を聞く。

発酵過程によって付着した菌が、水だと殺菌しきれないからだ。

ただ、よくよく調べてみると意外にも、水出しは可能であることが分かった。

・味わいについて

水出しだとお湯出しに比べて渋み(タンニン)が出にくく、やわらかくてマイルドな味になる。
代わりに香りやコクは少し控えめ。

・抽出時間

水ではお湯の様に秒で色が出ない。抽出がゆっくりな為、冷水ポットに茶葉を入れて2〜6時間くらい冷蔵庫でじっくり抽出するのが一般的。

・成分

カフェインやタンニンの抽出量が少なくなる。ただ、胃には優しい。ポリフェノール(抗酸化成分)はある程度抽出される。

・衛生面

水はお湯より殺菌効果が弱いため、必ず冷蔵庫で抽出すること。常温放置は雑菌が繁殖する恐れがある。菌まみれのお茶など飲みたくない。

・茶葉の選び方

ダージリンやセイロンのような軽めで香りの良い紅茶がオススメ。アッサムなどは、渋みが強いため、水出しだとバランスが悪くなる場合も。

・賞味期限

作った水出し紅茶は 冷蔵保存で24時間以内 に飲むのが安全。

どうせ冷蔵庫で抽出するのであれば、耐熱の冷水ポットにお湯で抽出して、冷蔵庫で冷やした方が、安全面も良さそうと思うのは、私だけではないはずだ。(小声)

紅茶の起源ってイギリスでしょ。そのように思って生きてきた。

その考えが覆ったのだ。実は中国だったのである。まじもんの仰天ニュースだ。

伝説では、紀元前2737年、中国の伝説上の皇帝が沸かしたお湯に偶然茶葉が入って飲み物になったのが始まりとされる。

すごい!普通の人なら「あ~もうゴミ入った~沸かし直そ~」で済むところを、そのまま飲んでみて「イケるくね?」となったのがすごい!!

実際の歴史としては、紀元前から中国南部で薬草・飲料として用いられ、唐代(7~9世紀)に広まる。

誕生の地:中国福建省

17世紀、福建省の「武夷山」で「ラプサンスーチョン(正山小種)」と呼ばれるお茶が作られたのが紅茶の最初だったという。

当時はヨーロッパに輸出するために保存性を高める必要があり、茶葉を完全発酵させて輸送したのが始まりのようだ。

ヨーロッパでの流行

同じ17世紀に、オランダ、イギリスの東インド会社が中国から輸入をする。

イギリスで特に人気が高まり、18世紀以降「アフタヌーンティー」の文化を形成した。

高級ホテルにも取り入れられている噂の”アフヌン”だ。

しかし、あんなにアフヌン活動女子はスリムなのに、お茶を飲んでケーキを食べた後に、夜ご飯は食べれるのかと思ってしまう。いや、夜ご飯はシーシャなのかもしれない。(大偏見)

インド・スリランカでの生産

その後、19世紀、イギリスは中国茶の他に、インドやスリランカでの紅茶の栽培を推進する。

この頃にアッサム紅茶、ダージリン紅茶、セイロン紅茶といった有名ブランドが確立することに。

健康の為の薬草として飲まれていた物も、ヨーロッパの文化にかかれば、美しいティーカップで飲むような、リラクゼーションに変わってしまうのだ。発想の異なり具合から分かるように、まさに人種の違いである。

アフタヌーンティーの紅茶といえば、なんとなく甘めのものが多い気がするが、これもイギリスの昔の文化が関係してくる。

砂糖が安価に流入したのだ。

そして、紅茶+砂糖+ミルク=エネルギー補給ドリンクとして労働者階級に浸透する。

結果として「午後のお茶休憩」は疲れを癒す風習になったとされている。

ということは、あの国民的飲料の午後の紅茶も、ストレートティーが甘いのは、なるほどな!となってしまう。

さすがは大手。コンセプトと理由が明確すぎて頭が上がらない。

そうは言っても、私は無糖派である。シンプルに無糖が好きということは置いといて、

無糖紅茶は カロリーゼロでありながら、砂糖やミルクなどを入れたものよりも、効果が相殺されずに抗酸化作用そのままで健康的な気がするからだ。

カフェインが入っている為、飲みすぎたら胃に負担がかかってしまうが、嗜みであれば、毎日の習慣にして良い飲み物。

それが、紅茶だろう。

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