ピンクがいっぱい

10月も終わりかけているというのに、まだ30度もある。
こんな調子でコスモスはいつ顔を出すつもりなのだろう。
まさか、私の家の前で溶けているのではなかろうか。
そんなことを思いながら、スッパムーチョの梅味を食べている。
あの、最初の一口から最後まで変わらぬおいしさ。
スーパーでお菓子を買う時は、なんだかんだで必ず手に取ってしまう。
しかも無意識に。ほとんど“条件反射”みたいなものだ。
でも、私がスッパムーチョを選ぶ理由は、梅味が好きだからだけじゃない。
オレンジとか緑とか黒とか青とか、
スナック菓子コーナーには、だいたい男子の部屋みたいな色が並んでいる。
そんな中で、ひときわ異彩を放つどピンクの袋。
それがスッパムーチョ梅味。
「私を見なさい」と言わんばかりだ。
なんか、ちょっと気持ちがわかる。
私は昔からピンクが好きだった。
――いや、正確に言うと、「好きだと決めつけられていた」かもしれない。
親戚も含めて男ばかりの家で育った私は、
「女の子なんだから」と言われ続けた。
フリフリの服を着せられ、リボンで髪を三つ編みにされ、
おまけに人形まで抱かされていたけれど、当の本人はぜんぜん抵抗がなかった。
もしかすると、胎児のころから“女の子育成プログラム”を受けていたのかもしれない。
母親のお腹の中で、すでにピンクの洗礼を受けていたのだ。
その結果、私は今でもピンクを見ると落ち着く。
気がつけば、持ち物がほとんどピンク色だ。
フリクション、ノート、ブラシ、鏡、
そして大事なアイコスのカバーまでピンク。
まるでピンク市で買い揃えたようななカバンの中身。
こうなると家の中も、きっと三分の一はピンクだと思う。
いや、下手したら半分かもしれない。
そして、世の女性の好きな色ランキング堂々1位のピンク。
やわらかくて、優しくて、ぶりっ子の色。
だけどやっぱり、どうしたって可愛いのだ。
そう考えると、スッパムーチョの袋があの色なのも、ちゃんと理由がある気がする。
あのピンクは、ただの「梅の色」なんかじゃない。
きっと、頑張ってる女子たちの味方の色なのだ。

どうやらピンク色の癒し効果は絶大らしい。
ピンクは「愛」「安心」「優しさ」「幸福感」を象徴する色とする。
特に日本では「春」「桜」「やわらかさ」といった穏やかなイメージとも結びついていて、季節や感情のバランスを整える色なのだ。
それから、副交感神経を刺激して緊張をほぐす作用だってある。
病院や福祉施設でも、壁やカーテンに淡いピンクを取り入れることが多いのはこの為なのだ。
怒りや不安の感情を鎮め、「まあいっか」と思える穏やかさを取り戻させてくれるのかもしれない。
婦人科は、ほぼ薄ピンクの内装と言っても過言じゃないだろう。
実は、ピンクを見ると、人に優しくしたくなる気持ちが自然に生まれやすいと言われている。
これは“母性本能”や“包み込むような感情”と関係していて、家庭や人間関係をやわらかく保つ色としても効果的だそう。
どんなに嫌いなヤツでも、そいつがピンクを着ていたらなんだか可愛く見えるものだ。
もしかしたら、怒られに行かなければならない状況に陥った際にピンクを着ていれば、あらかた許される可能性が無きにしろあらずだ。
淡いピンクは、自己肯定感を高める色でもあるそうだ。
たとえばピンクの小物などを持つことで、「私は大切に扱われて良い存在なんだ」と心が自然と整うらしい。
メイクや服装に少し取り入れるだけでも、心の中がふわっと明るくなるのはこの為なのだろうか。
さらに、濃いショッキングピンクには“エネルギー”の要素もあり、落ち込んだ時に見ると少しずつ元気を取り戻せると言われいる。
学生時代にはショッキングピンク色が本当に流行った。
女子高生=ショッキングピンクはマストだったのだ。
そんな自信と希望に満ちた学生の背中を押してくれるような色でもあった気がする。

画像:ピンクリボンフェスティバル公式サイト内引用
乳がんの早期発見・治療の重要性を広める世界的なシンボルマーク、ピンクリボンと言うものがある。
ピンクリボンとは、乳がんと闘う女性たちへの支援や共感、希望の象徴として使われていて、
1980年代後半からアメリカで始まり、今では世界中に広がっている。
日本でも10月は「ピンクリボン月間」とされ、各地でキャンペーンや検診の啓発イベントが行われているのだ。
ピンクリボンを付けることによって、乳がんを知っている、支援しているとの意思表示にもなる。
過酷な治療の中でも、「心の安心」や「希望」を感じられる色として、ピンクが選ばれたとも言われている。
ピンクは「自分をいたわる」「心を丸くする」「人を優しくさせる」色。
穏やかに生きたい時こそ、ピンクが効く。

なんと、ピンクはアンチエイジング効果まであるらしい。
色にそんな凄まじい効果があるとは、にわかには信じがたいが、大まかな面では間違っていないようだ。
そんな、ピンクは、若々しく見せる効果がある色として、心理学やファッションの分野でもよく知られている。
では、なぜピンクが若くみえるのか?
1.血色がよく見える
ピンクは肌の赤みや血色と調和しやすい色。
顔まわりにピンクを取り入れると、自然なチーク効果が生まれて、健康的で明るい印象になるという。
ピンクのトックリセーターなどを着ればこっちのもんだ。
2.やわらかく優しい印象を与える
年齢を重ねると、どうしても顔立ちや雰囲気がシャープになりがちになってしまう。
ピンクは表情をやさしく、親しみやすく見せてくれる色。
これが結果として「若く見える」効果に直結してしまうのだ。
3.フェミニンで軽やかな印象
ピンクは「春」「花」「可憐」といったイメージと結びついていて、軽やかさや明るさ=若々しさの象徴となる。
濃すぎないピンクを選べば、年齢を問わず上品な若見えが叶うだろう。
個人的にはパステルカラーのピンクは自分に似合わない気がするが、
おおよそ、年代別に似合うピンクを割り当ててみると
20代〜30代:フレッシュピンク、サーモンピンクなど明るめで元気な色
40代〜50代:ローズピンク、モーブピンクなど深みのある大人ピンク
60代〜:グレイッシュピンク、スモーキーピンクで上品かつ血色感が出る
と、予想する。
年齢を味方にする色として、頼もしい限りだ。
たしかに絶大な効果のピンクという色。

そして驚愕の事実がある。ピンク色の刑務所があるのは、御存じだろうか。
実際のピンク色の刑務所、又は拘置所の事例によると、犯罪抑制や心理的効果を狙って、壁や拘留室をピンクにすれば良いのではないかといった試みがあるようだ。
例えば、スイスの一部刑務所では若干「クールダウン・ピンク(“Cool Down Pink”)」という色を使って、攻撃性の高い受刑者の様子を穏やかにしようとしたという報告があったりする。
クールダウンピンクとは、一般的には落ち着いた印象を与える、ややくすみがかったピンク色で
「クール(cool)」という言葉からも分かるように、暖色系のピンクの中でも青みがかった涼しげなトーンが特徴である。
また、米国の調査では特定の種類の受刑者をピンク色の拘留室に入れたところ、脈拍・血圧が下がったというデータも出ているという。凄まじい。
歴史的には、米サウスカロライナ州の 「ピンク・パレス」という、外壁が薄ピンクに塗られた旧刑務所が有名だ。
同じピンクでも、確かに、赤みよりも青みがかったほうが
落ち着きが生まれそうのは想像できる。不思議だ。

色のパワーというものは、つくづく恐ろしいものである。
もはや、ここまでくると、ピンクスポットに向かえば最強の開運が訪れるのではないかと思ってしまう。
実際どうなるのかは分からないが、そんな開運されそうなピンクスポットはどこか気になるところだ。

【タイ】ワット・サマーン・ラッタナーラーム (ピンクガネーシャ)
いきなり海外だ。言わずと知れたパワースポットのピンクガネーシャだが、
ガネーシャ像の周りには、合計14匹のネズミがいます。各方位に8匹いるほか、ガネーシャ像の手前に2匹いて、この2匹は特殊な能力を持った目と耳(普通では見えない、聞こえないものが見聞きできる)を持っています。また、ガネーシャ像の後方にルーシーネズミ(ルーシーとは、タイ語で仙人、修行者、哲人などを意味)、線香立ての場所にもう3匹いて、特に金運にご利益があるという2つのネズミの像が大変な人気です。
ネズミの像は曜日ごとに色分けされ、お願い事は自分のお誕生日の曜日と同じ色のネズミに祈願します。祈願の方法は、靴を脱いで踏み台の上に立ち、ネズミの片耳に直接願い事を囁いてお願いをし、ネズミたちが祈願者に代わってガネーシャに願い事を伝えてくれます。願い事を囁くのは両耳のどちらの耳でもよいのですが、願い事を囁いている間は、もう片方の耳を手でしっかり塞ぎ、願い事が外に漏れないようにするのがポイントです。
と記載されてある。
てっきり象さんのほうにお参りすると思いきや、まさかのである。
タイ観光案内サイト公式サイト内引用


【鳥取】恋山形駅
山形と名前が付く為、山形県と思いがちだが、実は鳥取県八頭郡智頭町にある無人駅だ。
実際に駅を利用するというよりも観光目的で車での来場が多いそう。
始まりは平成24年5月、駅名に「恋」がつく全国に4つしかない駅(※)を持つ鉄道会社が集まり「恋」をテーマに連携し地域の活性化を図ろうと恋駅プロジェクトを立ち上げることになりました。
※「恋」のつく駅…JR北海道:母恋駅(ぼこいえき)、三陸鉄道:恋し浜駅(こいしはまえき)、西武鉄道:恋ヶ窪駅(こいがくぼえき)、智頭急行:恋山形駅(こいやまがたえき)
そのプロジェクトの最初の取り組みとして、平成25年1月、4社共同で「恋駅きっぷ」を限定発売したところ、大変好評をいただき、あっという間に完売してしまいました。
この波にのって智頭急行では独自の取り組みとして、恋山形駅を「恋の駅」に位置づけ、全国に向けた話題の提供ならびに更なる地域の活性化を目指し、平成25年6月9日、駅舎をピンクに彩りリニューアルオープンしたのです。
その後恋山形駅は全国から注目を浴びていきます。地元のTVのみならず、全国版のTV番組などでも取り上げていただき、今もなお恋がかなう駅として県外のお客様を含めたくさんの方にお越しいただいております。
智頭急行株式会社公式サイト内引用


【北海道】ひがしもこと芝桜公園・山津見神社
時期にもよると思うが、これは映える。
毎年多くの旅行客が集まる芝桜の人気スポット「ひがしもこと芝桜公園」。10ヘクタールの広さを誇る芝桜公園は、見頃時期には、丘一面がピンクに染まり、一面に敷き詰められたピンクのグラデーションは、圧巻のひとこと!芝桜に覆われた緩やかな丘は、下から見上げても、上から眺めても絶景。芝桜の中にあるピンク色の鳥居「山津見神社」もSNSで大人気のスポットです。
北海道公式観光サイト HOKKAIDO LOVE! 引用

【福岡県】恋木神社 水田天満宮
個人的に10回は行っている福岡県の文化財、水田天満宮の構内にある恋木神社だ。
毎回念入りにお賽銭を惜しみなく入れ、お参りしていたおかげで結婚ができたと信じたい。
水田天満宮の末社として建立当初(鎌倉時代)より鎮座し、御祭神は「 恋命 」を祀り、全国でも珍しく恋木神社は一社のみです。
恋木の「木」は東を意味します。
菅原道真公が太宰府で生涯を終える迄、都の天皇・妻子を思う御心は計りしれなかったことでしょう。その思いやりのある道真公の御心をせめて御霊魂だけは慰めようと祀られたと云われております。
恋木神社は、「良縁幸福の神様」「恋の神様」として、親しまれており、「恋みくじ」をはじめ「恋木絵馬」「ハート陶板守」など、恋木神社の御神紋であるハートが施されています 御守が多数授与されております。
「 あふれる程の愛に恵まれますように 素敵な出逢いで幸せになりますように 」と願いが込められた恋木鳥居にはハートが10個あります。
恋木神社 恋する錦鯉の杜 公式サイト内引用
少し話はずれるが、近所ではうらやましいことに、高級車にカラーラッピングをするのが流行っているらしい。
ベンツやレクサスなど、ところかまわずピンクなのだ。もしかしたら、そんな俗に言うセレブ達も心の中では癒されたいがためにピンクを選んでいるのかもしれない。
別に決めつけるつもりはないけれど、ピンクって、どうにもこうにも
「恋愛運アップ」とか「開運カラー」とか、そういう女子向けのフワッとしたパワーを感じてしまう。
もちろん全員がそうじゃないとは思うけど、なんだかんだで女性のほうが、ピンクを見ると「ふわ〜」っと癒されて、安心するのかもしれない。
これが母性本能なのか分からないが、まあ、近いものはある気がする。
とにもかくにも、ピンクという色、可愛いだけじゃなくて、実はなかなかの実力者なのだ。
今後も、油断ならない存在である。